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昼下がりの乗客もまばらなバスに揺られて、
優先席に腰掛ける神さまは御自身について、うつらうつら考えを及ぼされた。 しばらくすると、それはブザーを押し忘れてしまったことに盗って変わられた。 そのお人は、全知全能ではあるが、御自身のことは、 やっぱり不問にしておくのがいい、と考えていた。
ただ、単に
夢を見ていたんだ。 空っぽの顔に群がった雲が 古びてゆくように 蛆虫のように少女たちは、縄跳びに興じている。 それは、何だか猟奇的な光景に思えた。
小さな石を拾って、
ポケットに忍ばせて手で温める。 色づいてきた石は、 ごにょごにょと呟く。 背後に蝉みたいな陽が落ちかかっていた。
無慈悲な花が咲いた
空の飛行船を仰ぎ見て 村落の娘たちは 小さな民謡を唄った 大きな歯から 小さな歯茎が 海の中の生き物のように生えてきて夜の内、 月と言葉を交わす 明け方の溜め息 無人の自動販売機 消えてゆく顔かたち 粘土のような記憶の群れ 不規則に連なった絶叫 ああ、血が、 血が、止まらない と言って、 正岡子規は にっこり微笑んでいた。 それは、止まるだろうか 西日が射し込む 障子の傍らで
餌に垂涎していた痩せ犬は、
歩き回って、くたびれたのか、隣町とを結ぶ鉄橋の隅に臥して、 すっぽり埋まった両手の中に顎を座らせた。 そして、瞼を閉じて絵画のように眠りについた。 鼻の先が、折り紙のようにしわくちゃになって 時折、首元を震わせて 相槌を打つような声をあげる いったい、どのような夢を眺めている? 鉄橋の下を哀しげに過ぎ去ってゆく、 電波の間隔も無限に積もったころ、 犬は橋から落ちた。
携帯が水没で、データなくなっちゃったから
共通の友人がいない場合、とても困る S‐JUNくん、見たら連絡宜しく。
肘から無くなった先を
物語の終盤に見つけたような様 水底に沈んだ手首の表情は貝殻の色 歌声が透き通るように、照り返して、波状に浮かんでは、呼ぶ声となる 星を塞いでいても 真っ黒な頭を箪笥にしまっておいても 烏の羽ばたきみたいに 歯の奥にニッと突き刺さるから 当たり前のような顔をするなよ、 石灰みたいな貴金属を身に着用して 腹ですーっと息をして 細胞分裂によって それから痛い目に遭わせるつもりなんだろ? もう息してない 花は酔っ払っちゃったし 時間はそもそも動けない 蝋が熔けるようにして 会話の大半は、窓辺に吸い込まれてゆく
夜の拍子はいつもきっと
重たい水を、耳の奥に 切れ長の肺に手を振って あくびを噛み殺す猫の目端から、 水彩画風の人物が歩道を闊歩する 見えているのならさ、 話しかけにおいで まだ見えていないのなら 眠ってしまってもかまわない 文字の伝達はおそらく叶わない 叶わないと知りながら、 冷豆腐を大胆に切開した 明日の早朝に、ただ。
疲れた。
何が哀しいのかも わからない。 哀しくないのかも わからない。 でもきっと、 泣いているから 哀しいのだと思う。 人は、 言葉や表情に出すことで、自分の喜怒哀楽を認識するらしい。 どうしてか泣いていて 理由はわからないけれど 嬉しいとは思わない。 きっと哀しいのだ あとは、無力感だけだ
多くの人々が立ち止まって、眺めているその光景を、私はきっと知らない。
彼らが何を、そんなに熱心に眺めているのか。 私は、どちらかといえば、彼らの古ぼけた表情に注目する。 私が見つめる目の奥から、 紐がするすると、垂れ下がると同時に、足を休めていた人々の往き来が始まる。 それでも世界は、未だに止ったまま。
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